桜散るふうっと溜息一つ。薄曇りの道を俯きながら、一人歩いている。時折やはらかな春風が吹いて、並木の桜が小さく揺れる。不図立ち止まると、視界の端で薄紅色の花片がそよいだ。そして、少し強い風が吹き、はらはら桜が溢れる。思わず顔を上げると、長い髪のあのひとの横顔が遠く見えた氣がした。
4/17/2023, 12:46:54 PM