「ここが真人(まひと)の部屋か~初めて来た!」
そう言ってまじまじと眺めるのは、高校の時親友だった陽太(ひなた)。
「ん?これもしかして、実家から持ってきたタンス?」
「あぁ、うん。まぁなんでも買えるってわけじゃないし」
「じゃあ俺が内緒で貼ったプリキ◯アシールとか未だについてるのかなー」
「は?どこ」
「陽太クン忘れちゃった❗」
「その顔絶対覚えてるだろ」
言えよ、と詰め寄る真人を余所にカレンダーに近寄る。
「カレンダー発見!黒ペン借りるね~」
「は?ちょ、シールは」
陽太は真人の机の引き出しを開け、黒ペンを取る。そのキャップを外すと、今日に『陽太クンとの再開❕』と枠いっぱいに書き込んだ。
「何してんだよ」
「えー!真人と俺が再び会えた記念に、書き記しておこうと思っただけだよー!」
「嘘つけ、お前次の日にも何か書こうとしただろ」
「それは明日の予定だよ!だって俺一年しか居られないんだよ!!大事な一年なんだよー!」
ぴょんぴょんと跳ねるが、落下したときの振動や音がまるでしない。
「一年って短いんだよ!だから早く真人との計画立ててるんだよ!」
そう言うと陽太は再びカレンダーに向き直る。
(...大事な一年なら、家族とか地元の友達とか、他の人達のところに行くべきだろ)
はぁ、と軽く息を吐く。
「...なんで俺のところに来たんだ?」
「え?だって真人ともっと遊びたいから。もっかいアイス、二人で食べようよ!」
曇り無き眼には、光にやられる真人が映っている。
「そんなことでいいのかよ......仕方ないな」
「へへっ、いいよいいよ真人クン❗陽太クンわくわく😍してきちゃっタ😁✨一緒にアイス🍨食べようネ❗」
「なんかやだな」
「ひどいヨ😭💔真人クン❗」
真人は陽太の隣に並び、カレンダーを見る。
「......なぁ陽太、一つ聞いていい?」
「ん?何?」
「お前なんで俺の黒ペンの場所知ってんの?初めてきたんだよな?」
「あ、やべ」
「お前絶対初めてじゃないだろ!!」
お題 「大事にしたい」
出演 真人 陽太
9/21/2024, 5:55:19 AM