#ずっとこのまま
青々とした木々が、音をたて夜風に揺れる
何処からか、ホーッとフクロウの声も聞こえる
「...今宵は、月が綺麗だな」
男が、問いかける
言うように、空には満月が浮かんでいる
「...いや、今宵”も“か」
自傷的に笑いながら、
男は空から視線を移す
「まぁ我にとっては、それが当たり前だったのだが」
まるで愛おしいと言うように
男は、視線の先の彼女を撫でる
「文字通り、お前が毎日のように言いに来るからな」
顔色一つ変わらぬ彼女を見たあとに
男は顔をふと、伏せる
「お陰で毎日眺める癖ができてしまった」
全く困ったものだ
...と、形だけの溜息混じりを。
「......だが、やはりお前からの言葉も聞きたいものだな」
男は彼女から手を離し
代わりに、サイドテーブルに手を伸ばす
「我だけが一方的に言うなんて、不公平だろう」
彼女は、何も言わない
男はそれに眉を顰め、今度こそ溜息を零す
「...まぁ、良い。目を覚ました時には、嫌になるほど聞かせてくれるのだろう?」
男は、彼女の手を握る
丁寧に、割れ物を扱うように
「その為にこの我、我が直々にそちらへ行ってやるんだ」
手を握るのは逆の手で
男は先程手にした物を力ずよく握る
「...ついでに、もう時間も残っていなかったからな。精々我に感謝するがいい」
もう一度、男が満月を見る
「...では、行くぞ―――
再び赤き月の下で、ユカイに踊ろうぞ」
そうして男は、自身の胸に刃物を突き刺した。
これは、もしもの話である
何処かの二人の
不可能に近い可能性を考えた作者の、妄言である
その後の解釈は、皆様次第である
言うまでもないとは思いますが、原作とは無関係である
1/12/2026, 11:36:07 AM