折り重なった紙のページをめくる。
そこにある行儀よく羅列した文字を目で追い続けると、私は知らぬ世界へと手招かれる。
その世界にはいつの日かは、恐竜がいたり、魔女がいたりして、世界が滅亡の危機に立たっていたしている事もあった。
時には、現実的な世界の日もあった。
私はそこで、どこかの誰かの人生を俯瞰しているようでいながら、時に共感し、出てくる登場人物に心を揺り動かされる。
自分が何者でもない人間になる感覚は、心地が良い。
本の中に自分が入り込み、溶けていくように没頭することは現実の世界を忘れるようでもあった。
今日も、飽きずに私はページをめくる。
経験もした事の無い夢のある世界へと入り込むために。
――――物語
お題【現実逃避】
2/27/2024, 3:59:16 PM