何を意識するでも無く、確かにそこに有った筈だった。
ただ、精密検査だなんてする様な事も、今迄の人生の中で経験はしていないので“知識として存在している”と言う認識ではあるのだが…。
無いのである。
見えはしないが、明らかに。
意識すればはっきりと分かる。
其処に、ないのだと。
「確か、ここにしまってた筈なのになぁ〜」
なんて、歌う様に語尾を伸ばす声は、特に焦っている様子もなく、僕の所まで軽やかに届く。
何故そんなに呑気で居られるのか…
振り向き顎に滴る汗を手の甲で拭いながら、焦りそうになる心を落ち着かせる為にも、痺れそうになっていた足と、屈んでいた背筋を伸ばす。
伸びた前髪がカーテンの様な役割をしていた様で、傾けた顔に強い光が差し込み目が眩む。
今日も、変わらず酷い…。
窓から見える景色は、熱気でうねり波打つ様で、家の中に居ても聴こえる程の蝉の悲鳴の様な音が聴こえる。
まるで、地獄の様だ。
対に此処は、機械音は忙しないが、快適に過ごせる涼しさが維持されている。
だが、それでも汗だくになる程探し回って数時間。
未だに目的の物は見つかっていない。
お題 熱い鼓動
お久し振りになります。
外出中の椅子休憩中に打ってたけど、間に合わなかった。
もしかしたら続く…
7/31/2025, 10:20:23 AM