夜莉

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茹だるような暑さと、どこまでも広がっているその青さに目を細めた。

ポケットに入れているスマホが布越しに肌に触れて不快感を覚える。
ちょっと先を見れば田んぼが広がっていて、「ザ・田舎だな」なんて思ってしまう。

ー あの人は心配してるかな。いや、してないか。

歩きながら左手首にある傷をガーゼの上から撫で、いつからこんなことをし出したのだろうと考える。

ちゃんと覚えていないけど、確か
私が小さい頃から良くなかった両親の仲が更に悪くなって
同じ時期にいじめが始まって、どこにも居場所がなくてー…。
うん、その時くらいからだった気がする。

昔は夏の時期は控えることが出来ていたのに最近は上手くいかない。
それが見つかったのだ。
見つかって、私の何倍も傷ついたような顔をした母親に無理矢理、祖母がいるこの田舎に連れてこられたのだ。

普通なら病院に連れていくのだろうが、近所の目が気になるのであろう母親は“田舎でリフレッシュさせてあげよう”という考えになったらしい。
所謂、転地療養みたいなことなのだろう。

ー 馬鹿みたい。

こんな所、来たくなかった。
でもあんな家にもいたくなかった。
結局私は、今も居場所を見つけられていない。

自分と周りとの境界線が分からなくなって、目を瞑ってその場でうずくまる。
自分が何なのか分からない。
いや、大丈夫。私は人間で、19年生きてて、名前はー…。

「あの、大丈夫ですか?」
「……あ…。」

心の中でぐるぐる考えていると、鈴のような優しい声が頭上から聞こえた。
顔を上げると、夏だというのに長い髪を下ろして着物姿の人物と目が合った。

その瞳は今日の快晴のような綺麗な青で
私はまた、思わず目を細めたのだった。




・。・。・。・。・。・。・。・。

過去の私が今の私の首を絞めに来るので
私が私を救うための物語を書きます。

テーマに沿いつつ、繋げて書く予定。

不定休。

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4/13/2024, 3:48:49 PM