お金がなかったから仕方なく公園でデートしていた。当時は高校生だったから仕方ない。北風が身に染みる季節でも、灼熱な日の光を浴びる季節でも、ベンチしかない公園で肩を寄せ合って手を握った。
二人で行けばどこでもデートスポットだった。
お金があっても将来のためにデートでも倹約していた。僕も君も特に文句は出ない。行きたいところも行くし、美味しいものも食べる。でも贅沢をするつもりはない。二人でシェアすればどれも贅沢なご褒美だから。
高校時代を過ごした公園に君から呼び出された。より静かで殺風景な公園のベンチに、君は躊躇わずに座っていた。昔から変わらない仕草と、より一層魅力的な女性になった君に見惚れていた。
はやる気持ちを落ち着かせ、深呼吸してから君の目の前まで歩いた。
跪いて差し出すは四十本の赤いチューリップの花束。
『永遠の花束』
2/5/2025, 9:14:50 AM