かたいなか

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桜満開の良い時期に限って、なかなか快晴の良い天気に恵まれない気がする物書きです。
だいたい曇天とか強風とかが重なって、良い写真が撮れないことが多いような、単純に設営スキルが不足しているだけのような、
というハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく、絶賛修行中。
その日は修行でお世話になってる世界線管理局法務部の、ツバメなるビジネスネームの局員が、
気分転換も兼ねて、子狐をキャンプに連れてってくれるとのこと。

沢あり花あり洞窟ありの、しっかり整備されたキャンプ場に、予約を取ってくれたのです
が。
なんということでしょう。
その日のキャンプ場は、お題の「快晴」どころか、晴れ間も見えず、サラサラぽつぽつ。
ずーっと、雨ばっかり、降っておったのでした。

ぐっばい快晴。ぐっばい楽しいキャンプ。
コンコン子狐はしょんぼりして、ツバメからのキャンプ延期の連絡を、待っておったところ、

「子狐。迎えに来ましたよ」
あらあら、管理局のツバメは雨なんて気にもせず、稲荷神社にバイクで来て、
子狐にかっこいいライダージャケット風のポンチョを着せてやって、
そして、ちょっと尻尾をフリフリ揺らす子狐を、ペット用のキャリーに乗せてやりました。
「なにも快晴ばかりがキャンプの醍醐味ではありません。雨には雨の、楽しみ方がある」

まあ、私も晴天キャンプの方が好きですけど。
それはそれ、コレはコレ。
せっかく予約をしたんですから。
ツバメは、そんなこんな言いながら、子狐をキャンプ場へ連れてって、
そして案の定、雨天の屋外キャンプ場は、ほぼほぼ貸し切り状態だったのでした。

「せっかくの雨キャンプです。
キャンプ場内の洞窟を、使わせてもらいましょう」

通気、通風がしっかり整備された人工の洞窟に、ツバメは子狐を抱いて、行きました。
酸素が常にゆっくり入り、二酸化炭素が留まらず、
なにより入口がちゃんと広い、大きな洞窟でした。

「子狐。ほら、手伝って」
ごみ置き場、焚き火台、念のための二酸化炭素濃度計測器に、眠るための大きなテント。
計算された安全な人工洞窟とはいえ、暗いものは暗いので、適度な光度のランタンも複数個。

「きのこ!きのこ!」
雨音とランタンの光が届く壁のあたりで、子狐はウニョウニョしたキノコを見つけました。
「キクラゲかな?」
キャンプ場のパンフレットを見ながら、ツバメが言いました。
「ここのキャンプ場の主が、確実に食べられるキノコを選んで、菌を育てているそうですよ」

キクラゲかな、キクラゲなのかな。
コンコン子狐はウニョウニョキノコを、くんくん。
観察して、キノコスメルをチェックしてみましたが、あんまり分かりませんでした。

「いくつか採っておいで。シイタケを見つけられたら、網焼きにしましょう」
「しいたけ!しいたけ!」

雨、あめ!なかなか楽しい。
コンコン子狐は洞窟の中を探検して、キャンプ場のオーナーが埋めたキノコを収穫して、
それはそれで、なかなか楽しんでおりました。
雨、あめ!これはこれで面白い。
子狐はそれから、快晴も小雨も気にしないで、
お肉とシイタケとキクラゲと、いろんな食材を串焼きにして、あぶって、
それはそれは満足にキャンプを堪能しましたとさ。

4/14/2026, 7:31:45 AM