空ノ宵

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          ようこそ。
     本日はお集まりいただきまして、
      誠にありがとうございます。
  皆様もご存知の通り、生命の父サタラの予言では
   今宵、私たちがいるこのサーヤ神殿の真上で
       月が消えるというのです。

    そう、闇が光を飲み込んでしまうのです。
   しかしサタラの予言はここで終わりません。
   彼の予言では一度消えた月もいづれは見え始め
     より一層輝き出すというのです。
 
  皆さん、こんなお話を聞いたことはありませんか。
  生命の父サタラとその奥方である自然の母マオネの
  子である昼の神サンリアスと夜の神アーナイトは
    月の消える晩は出歩くなという掟を破り
      現し世へ出掛けてしまうのです。
    月の消えた時、サンリアスとアーナイトは
 今まで見たこともないような怪物に飲み込まれます。

  サンリアスとアーナイトがいないことに気づいた
  サタラとマオネは急いで辺りを探し始めますが
      見つかる様子はありません。
 すると、突然空が光り、これまで見たこともないほど
       美しい月が現れました。
 サンリアスとアーナイトは月の光に包まれ、互いを寄
      せ合い、抱き合っていました。
       月は2人を守っていたのです。

   月を祀り、願いを捧げるために建てられたのが
         このサーヤ神殿です。
 サーヤとは「輝き守る」といった意味があるのです。

 月は、闇に迷い込む私たちを救ってくれる存在だと、
    そう生命の父サタラはおっしゃいました。
   そして今宵、月が消える日がやって参ります。

    これからの私たちの明るい未来のために
          神のご加護あれ。
          皆様もご一緒に
        月に願いを捧げましょう。

         「テピア・サーヤ」
   ーー月よ、輝き、どうか我らをお守りくださいーー




      ※このお話はフィクションです。
    実際の人物団体とは一切関係ありません


         『月に願いを』

5/27/2024, 5:59:27 AM