中宮雷火

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【赤い糸】

死の間際に君は言った。
「生まれ変わったら、私を迎えに来て……」
そう言って、君は冷たい雪の降る日に旅立った。

時が経ち、僕にもお迎えがやって来た。
僕は一度たりとも「あの約束」を忘れたりしなかった。
生まれ変わったら、絶対に君を迎えに行く。
そう胸に誓って、僕も旅立った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
生まれ変わった僕は、21世紀の日本にいた。
愛する人はどこにいるのか分からない。
違う国、違う大陸にいるかもしれない。
だけど、それでも僕は構わなかった。

恋人は赤い糸で結ばれていて 、惹かれ合うらしい。
つまり、赤い糸が愛する人の居場所を教えてくれるということだ。
だけど、あまりに距離が離れすぎていると赤い糸が見えない。
だから、僕自身が動き回らなければいけなかった。

まずは日本を探すことにした。
東京から始まり、北は北海道、南は沖縄まで、日本中を探し回った。
赤い糸は全く見えなかった。

愛する人は外国にいるのかもしれないと考え、世界を一周することにした。
北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、多くの時間とお金をかけて、愛する人を探すことにした。

そうして、僕は40歳になった。
体力的にしんどい。
愛する人に会えず、心もしんどい。
もう、今世では会えないかもしれない。
そう覚悟した時だった。
ふと手元を見ると、左手の薬指に赤い糸が結んであった。
まさか。
僕は前を見た。
目の前に一人の女性が立っていた。
僕と同じく、左手の薬指に赤い糸を結んでいた。
心が震えていた。
いつの間にか涙が頬を伝っていた。

涙でぐしゃぐしゃな顔に、僕は笑顔を浮かべて言った。
「迎えに来たよ」

3/14/2025, 1:23:45 PM