狐コンコン(フィクション小説)

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7:放課後 20



「あした、わたし卒業するんです。あそこの大きな木の根元で、私待ってます。あなたが来るまでずっと。」

でも縛り付けたいわけじゃないんです、と口から細く揺らめく声が蛇のように耳に入る。
来るまでずっと待ってるだなんて、縛りつける気しかないくせに。
その艶めかしい唇も、目も、髪も、相手を縛るには最適なもののくせに。



私はその日木の根元へ行かなかった。
離されないような気がして怖かったから。
きっとあいつの深い味を知ったら、今後他の人間を愛せなくなる気がしたから。



時が経ち、あの思い出の場所は閉校され大きな木も伐採された。私の不安の種は遂に無くなったのだ。


だから、私の家に飾ってある大木の絵画に、あいつが写っているのも気のせいに違いない。






あいつが魅力的なのが悪いんだ。

あの日俺を殺し損ねたからって、ここまで執着しなくていいだろ。

あいつが思わせぶりな事をしたせいなんだから、味見くらい構わないと思ったのに。しくったなぁ。

10/13/2024, 4:07:59 AM