絆なんてありはしない。所詮それはまやかしであり、偽善だ。でなければ何故、僕は彼に裏切られたというのだろうか。絆を信じ、義を重んじ、ひたむきに戦場で戦い続け、そうして戦場で散った彼に。
彼はまやかしを信じたから、今はもう冷たい土の下にいる。僕は彼の見せるひと時の夢を愛してしまったから、ここから離れられない。
ねぇ、どうしてあんな誓いをして、僕の元から笑顔で旅立ったの? 戦場で愛剣だけを残して、僕に何一つ形見なんて残さないでこの世から消え去ってしまったの?
あの男のことを思えば、愛しさで胸が埋め尽くされ、それと同時にギリリと歯噛みしたくなる。それは、腹の底で得体の知れない何かが、ずっと沸騰しているからだ。
これに何と名前を付ければいいのかを、僕はずっと知らないでいる。だって名前をくれた彼は、もう墓石の下なのだから。
3/6/2026, 11:20:26 AM