さよならは言わないで
さよなら、と最後に言ったのはきっと学校の放課後の挨拶くらいだ。またね、じゃあね、そんな言葉で人とは別れている。
何度会って何度別れたか、はかりしれない。別れの言葉に、また会うための魔法なんてかかっていないことを知りながらすがっている。
会えれば、会えたらいいな、そんな曖昧で頼りない気持ちで私たちの心は繋ぎ止められている。会わない時間の想像が会えないきっかけをつのらせ、会えない理由をつくりだす。
会わないほうがいいのかもしれない、そんな考えが私たちを優しく包み込んで臆病を慰める。
どうか、明日、今すぐじゃなくていいから。また10年後でも50年後でも良いからあのお別れした日みたいな気持ちで会いましょう。
さよならとは絶対に、言わないから。その代わり何年分かのまた会おう、を送るから。
12/3/2022, 11:00:29 AM