"束の間の休息"
「あぁ〜…っ。や…っと、途切れた…」
病院を開けてから、殆ど引っ切り無しに患者の対応とオペの連続で、流れが途切れて診察室に入った途端、気力と体力が悲鳴を上げて糸が切れた人形のようにふらふらと椅子に座りデスクに勢いよく突っ伏した──それでもちゃんとキーボードを上手く避けた──。
時計を見ると、時刻は11:13。まだ午前は終わってない。束の間の休息だ。少しでも回復しなければ。今一番やるべき事は糖分補給だ、とデスクの引き出しを開けてラムネ菓子が入った容器を取り出して蓋を開けると、一粒を手の平に出して口の中に放り込んで噛み砕く。ラムネの優しい甘さが疲労し切った体と脳に染み渡る。
「ふぅ…」
少し落ち着いて、小さく息を吐く。すると首元にかけていたゲームスコープから、けたたましい音が鳴り響いた。バシンッ、と両の手の平で思いっ切り自分の両頬を叩いて気合いを入れる。
──休息は終わり。さぁ、気張っていこう。
顔をゆっくりと上げ、ゲームスコープを手に取ってスイッチを押し、場所を表示して勢いよく診察室を出て、現場に駆けて行く。
10/8/2023, 2:05:10 PM