白眼野 りゅー

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「僕らは真実の愛で繋がってるんだ、決して誰にも引き離せないよ」
「『真実の愛』って、『真実』って付く言葉の中で一番嘘臭いよね」
「ちょっとは乗ってよ」


【過去形True Love】


「君は、真実の愛なんてないと思ってるってこと?」
「『真実だった愛』ならあるんじゃない? 未来がどうなるか分からない、もしかしたら将来君が浮気するかもしれない状況で軽率に真実なんて言えないよ」
「僕はそんなことしないよ」
「どうだか。未来のことを語るとき、人は簡単に嘘つきになれるからね」

「じゃあ、過去の話ならいいの? 僕は今まで、浮気はもちろん君を不安にさせるようなことは一度もしなかった」
「そうだね、それは真実だ」
「そして、今後もしない」
「それは推測、真実じゃない」
「今後もしたくない、と今思っている」
「それは真実かもね。君の気持ちは、間違いなく今君の中にあるものだから」

「もしかして、愛なんて不確かなものを真実にするのは難しいけど、自分の気持ちと行動は真実にできるんじゃないか?」
「そうかもね」
「なら、僕は真実を積み重ねるよ。いつか真実の愛にたどり着くために。墓場で『ほら、僕の言った通り、あれは真実の愛だったでしょ?』って、過去形の真実を言えるように」
「そっか、がんばれ~」
「ちょっと、馬鹿にしてるじゃん」
「馬鹿にはしてないよ。私には君を信じたいという『真実』の気持ちがあって、真実なんてそれ一つで十分だから、頑張らなくてもいいのになあって思っただけ」

7/24/2025, 2:22:36 AM