駆ける鱗

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時が停まって欲しいと思ったのは、今まで生きてきた
中で一番なのかもしれない。
戻ろうとしても帰ることができない場所。
その場所自体はわかっても、二度とその時間の
生きていた仲間に会えないから。
大切な人に、大切なモノに。
ただ、わかることは一つある。詐りの風が過ぎたときに
皆、思い出す。



私は姉妹なのだ、と。



朝がすぎれば春に、春の記憶の欠片に松が
松の近くには旗が



朝はやがて神威 涼に
春はやがて信乃 照に
松はやがて高雄 初に
旗はやがて野分 秋に


詐りの

神の風さえなければ我ら本当の四聖獣
狂った月の分だけ我ら九の悪龍の如く狂う

ただ、優しい港の音色があるのなら
我ら人として守りし月になり本当の四神になる


あのヒト(午)がいるならいつだって戻れるし
いつだってあのヒト(子)がいるから
眠っておだやかに姉妹と仲良くしているだけでいいの

と、姉たちは言った



時が停まって欲しい

でも私達はいつでも帰ることができた

時が停まって欲しい

でも狂った月のモノは二度とできない




同じ月はもうないから



3の名を持つ珊瑚海の記憶の欠片

9/19/2023, 10:55:21 AM