紗夢(シャム)

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【君と出逢ってから、私は…】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/8 PM 5:25

「じゃあ、俺はここで」
「うん。天明(てんめい)くん、
 今日は急なお誘いだったのに、
 一緒に遊んでくれてありがとう。
 楽しかったよ~!」

 この先、帰る方向の違う
 槇(まき)くんに、暁がにこやかに
 別れの挨拶をする。

「俺も楽しかったよ。
 誘ってくれてありがとな」

 そう答える槇くんも笑顔だった。
 暁の誘いは大抵急なのに、
 気にせず受け入れてくれる辺り、
 本当におおらかな人だと思う。

「お疲れ、天明。また休み明けに学校で」
「……気をつけて」
「宵たちも、気をつけて帰れよ」
「りょーかーい。またね、天明くん」

 バイバイ、と手を振る暁に、
 槇くんも軽やかに片手を振ってから、
 アタシたちとは反対の道へ歩いて行く。
 その背を見送って、アタシたちも
 歩き出した。

「いやー、まさか天明くんから
 《可愛さ無敵》の称号を
 頂いちゃうとは思わなかったねぇ」

 ガーベラを顔の近くに掲げて、
 暁が機嫌良さそうに言う。

「やっぱり、帰国子女だからなのかな?
 照れもためらいもなく女の子を
 褒められるのは。イケメンであれが
 さらっと出来るなんて、反則だよね~」
「……まぁ、実際アンタは可愛いから」
「もー、宵ちゃん。ちゃんと聞いてた?
 天明くんは《2人の可愛さ無敵》って
 言ってくれたんだよ!」
「そうだよ、宵。天明は暁だけじゃなく、
 宵のことも可愛いって思ってるんだよ」
「……っ、何でアタシにこだわるのよ……」
「だって、わたしと真夜(よる)くん以外に
 宵ちゃんの可愛さを分かってくれる人が
 いるの、嬉しいもん。ねー、真夜くん」

 暁が同意を求めると、
 真夜はさも当然のように頷いた。

「何なのよ……もう……」
「ふふふ。天明くんと出逢えて
 良かったよね、って話」

 良かった?
 ……暁と真夜は、良かったと思っている
 ということなのだろうけれど。

 (アタシは……)

 去って行った槇くんの後ろ姿を思い出す。
 キミと出逢ってから、アタシは、
 やけに戸惑うことが多くなってしまった。
 どうしてか、槇くんの視線や言葉は、
 上手く受け流すことが出来なくて。
 脈拍がいつも変に乱れている気がする。
 
 (慣れの問題なのかしらね……)

 暁はすっかり槇くんと仲良くなって
 いるし、真夜も……槇くんと話している
 時は、なんとなく楽しそうに見える。
 考えてみたら、槇くんは真夜にとって
 初めての男友達で――。

 (アタシにとっても、そう)
 
 だから、アタシはまだ順応出来て
 いないだけなのかもしれない。
 男友達という、人生で初の存在に。

 ――そのうち、アタシも槇くんがいても
 自然体でいられるようになって。
 出逢えて良かったと言えるように
 なれればいい、と思った。

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 もうお題消化して追い付くの無理!
 って気がしています。

5/21/2023, 3:54:24 PM