「先輩先輩! 見てください! うっふ〜ん♡」
「……どうした? 酒でも飲んだか? 未成年の飲酒は法律で禁止されてるぞ」
「んな、わけ、ある、かい! 誘ってるんですよ!」
「哀愁を?」
「ばかーー!! くっ、このハイパーウルトラビューティーナイスバディ美少女後輩が誘っても顔色ひとつ変えないなんて……。さすが先輩、なんて強固なクールっぷり……!」
「そんな自称ハイパーウルトラビューティーナイスバディ美少女後輩に僕からお知らせがあります」
「はい、どうぞ」
「ついさっきバイトをクビになり帰ろうとしたら家が火事になって燃えてて途方にくれているところにハイパーウルトラビューティーナイスバディ美少女後輩から連絡が来て電柱に頭をぶつけたり転んだりしながらやっとたどり着いたら哀愁を誘うポーズを取られなんだか胸がいっぱいになって泣きそうです」
「うん、それ私が哀愁誘ったんじゃなくて溢れ出てますよね。先輩から。普通に激ヤバイベントてんこ盛りですよね」
「泣いていい?」
「も〜仕方ないな〜。このハイパーウルトラビューティービューティーナイスバディ美少女後輩が胸を貸してあげましょう。ほら、泣いていいですよ」
「あ〜後輩の胸に抱かれるとなぜだか哀愁を誘われる……」
「うんうん、普段ならぶん殴るところですが今日は許してあげましょう。色々根回しして先輩のバイト先にあることないこと吹き込んだり家に火をつけた甲斐がありました♡」
20211104.NO.93.「哀愁を誘う」
11/4/2024, 1:18:02 PM