力を込めて
パン屋の朝は早い。店に着くころはまだ太陽も顔を出さない時間帯たが、この時間から始めても開店時間ギリギリとなってしまうことも多い。
さあ。始めるぞ。
強力粉、薄力粉、ドライイースト、グラニュー糖、塩を混ぜ合わせ、お湯を加えてひとかたまりになったらボールから出して捏ねる。力を込めて捏ねる。捏ねる。
パン生地の塊に濡れた布巾をかぶせて休ませ、その後も2度の発酵、生地が膨らんだら形成してオーブンで焼いていく。
パン生地は柔らかくて暖かく、なんとも言えないシットリとした肌触りが心地よい。何年たっても生地を捏ねると癒される。
ここは自分1人でやっているパン屋のため、たくさんの種類を作ることはできないが、作りたてを提供したいと思っている。
お客さんの「できたて〜」「まだ温かい」
などの言葉を聞くと嬉しくなる。
さあ。パンが焼き上がってきた。
開店準備だ。
朝の暗いうちから1人で始めたパン生地作りは静寂の時間だ。パンが焼き上がり、 店内に香ばしい匂いが立ち込める頃には、パートの人たちが来て賑やかになってくる。パンを並び終えれば開店だ。
チリン。チリン。
さあ。開店だ
10/7/2024, 10:01:34 PM