しじま

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 珍しく定時で上がれたので、ちょっとだけ寄り道。

駅前にある三階建ての本屋を上から順番にウロウロ。

学生向けの辞書や参考書、赤本を見て、遠く懐かしい学生時代を思い出す。

あの頃は、遊んでばっかりだったなあ。

 クスッと溢れた笑い声を咳で誤魔化しながら、隣の棚へと移る。

出版社別に並べられた漫画本、そういえば買い損ねていたヤツがあったな、と棚を行ったり来たりして
見つけた漫画をカゴに入れていく。

ついでに面白そうな漫画や小説も何冊かカゴに入れて、下の階へ降りた。

 二階は普段使いの文房具や子供が好きそうな可愛らしい雑貨に定番の事務用品が並んでいた。

多種多様な文房具を眺めている内に、普段は滅多に湧いてこない物欲が……。

余計なものをカゴに入れてしまう前に一階へ退散して、そのままレジへ向かうと、レジのすぐ側の自動ドアが開いた。

 白い飛沫と滝のような轟音と共に、塾の鞄を濡らした女の子がピョンと飛び込んでくる。

キャーキャーとはしゃぐ学生の声が、激しい雨音に混じって聞こえた。

テーマ「柔らかい雨」

11/7/2023, 5:34:18 AM