ストック

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顔を上げると満天の星空。
「星が降るような」なんて表現を何かの小説で見たことがあったけど、本当に今にも光の欠片が降ってきそうだ。

君も同じことを思ったのか「もしあの星が雨みたいに降ってきたら、光のなかに埋まっちゃいそうだね」とクスクスと笑いながら言う。
「君と一緒なら、それもいいかもね」僕も笑ってそう返す。

真っ白な花が咲き乱れる花畑。まるでここは地上の星空のようだ。
君と僕はそのなかで隣で仰向けになって寝そべっている。

薄く甘い花の香りに、眠気が増してくる。
「ねえ、星になっても、一緒にいられるよね?」
どこかぼんやりとした声で君が言う。
僕は君の手を握る。視界がだんだん暗くなる。
「もちろんだよ。ずっと一緒にいられるように、僕たちは今ここにいるんだから」
君は無言で僕の手を握り返す。

意識が消えるそのとき、本当に星が降ってくるのが見えた。
「どうか君と永遠に一緒にいられますように」

ああ、3回願いを言う余裕はなかったな。

7/5/2023, 1:11:47 PM