空の唸り声が遠く聞こえる
嘆くような鉄槌が命を砕いて
子らより無垢に、天より無慈悲に
そして散り行く彼らが遺す残響を燃料に燃え盛る
赤く、赤く、見惚れるほど悍ましく
吐き気を催す美しさで、いっそ艶やかに舞い踊る
ああ、数多の骨肉を積んで築かれた、愛しき故郷よ
今は脆く崩れた枯死の大地よ
命の燃える音がする
爛れた地獄の匂いがする
最後まで守る為、戦ったけれど
終ぞ届かなかった、荒削りの翼に焦がれる
私に罰を、灰すら残さず朽ちる誅罰を
あるいはこれが、そうなのか
膿んだ肺が絶えず取り込む、咽せ返るような赤い海が
透明な背へ追い縋る
何色にも染まらない、何者にだってなれた翼
切り刻まれて、かき混ぜられて
折れ曲がった姿はまるで、嵐の後の空みたいだった
君が嵐だと知っていれば
もっと早く気付いていたなら
呼吸をする度に、紡いだ夢想が閉じて行く
君の隣で生きたかった
この背を預けて戦いたかった
炎が迫る、足元で挑発するように揺らめいてくねる
痛いのに、苦しいほどに、私は焦がれる
赤い揺籠で微睡みながら、寝言の振りして囁いてみる
どうせ誰も聞いていないのだから
抱き締め返す腕など来ないのだから
白状しよう、告白しよう
私は君を愛している
並んで飛んだあの頃から、撃ち落とされてしまっても
ずっと、ずっと、これからも
刻み付いて離れずに、共に眠り、横で笑おう
旅立つ一羽の烏へ、この愛を捧ぐよ
霞んだ視界が最後に捉えた
君は来ないのだろう
良いんだ、幻でも
(I love)
6/12/2025, 12:22:07 PM