XXXX年X月31日
霧が薄くなった頃に探索を開始。今回の探索では調査団が重点的に調査を行っていた新興工業地帯を通過するルートで北側商業区を目指す。
調査団はこの都市から人が消えた原因の一端を、新興工業地帯の廃棄物による環境汚染や数度に渡り発生していた大規模工場火災が担っているのではないかと仮定を立てていたらしい。大企業の工場を中心に、被災した複数の工業施設の調査記録が残っていた。
外部を見る限り大きな工場ほど綺麗な建物が多いが、恐らく建て替えるだけの資本があったためだろう。小規模の工場の壁には黒々とした焦げ跡が残っていた。大通りこそ広く作られているが脇道は狭く建物同士が密接して並んでいる。なるほどこれは延焼するだろうなと納得した。
そもそもこの一帯は火災が多い土地らしい。その昔、香水用の香料工場が火元となった大規模火災が発生し古い建物の殆どが焼けてしまったという。復興に伴い新たな産業の発展地となるように焼け跡に作られたのがこの工業地帯だという。
「復興後も何度となく火災を起こし、その上、こうして都市全体が廃墟化しているのだから皮肉なものですね」
全くだ。
8/31/2024, 10:14:30 AM