空を見上げた。
深い黒に染まった空。
満点の輝きが、広がっていた。
白い砂が光っているように、散りばめられていた。
その中に、ひときわ目立った光があった。
大きな、大きな、流れ星だった。
青白い尾を引いて、目も眩らむような存在感で。
見れば見るほど、惹き付けられた。
誰かから聞いたことがある。
「流れ星には、願い事を唱えてみな。きっと叶うはずだよ」
そうだ、願い事だ。
流れ星には、願い事だ。
どんどん輝きを増していく流れ星。
はやく願いを唱えてと、急かすように。
もう私には、その星しか見えない。
両手を胸の前に結んで、ゆっくり目を閉じた。
祈るように、唱えた。
「流れ星さん、どうか……」
耳元で、大きな音がする。
ぐんぐん、大きくなっていく。
だんだん、熱くなっている?
やっぱり。
だから、早く言わないと。
「……ここに、落ちてこないで」
4/25/2023, 11:45:51 PM