『君の奏でる音楽』
──あぁだるい。
イヤホンから流れる軽快な音楽を聴きながら、その心にはドロドロとした惰性が覆っていた。
だるい。何もしたくない。面倒臭い。
だるい。
だるい!
かったるいっ!
仕舞いには怒りさえ湧いてくる始末。何がなにやら自分でも分からない。
ウゥ〜と呻くもおさまらない。
イヤホンからは未だに空気の読めない音楽が流れている。
タッタカタカタン♪タッタッタッ♪
タタッタタンタン♪タッタカタン♪
両手を頭に持ってきて、ズズっと前髪を掻き上げる。頭皮も一緒に持ち上がり、目付きが少し鋭くなった。
少し気になって立て掛けられた鏡をみれば、そこには酷い顔をしたブスが一人、変顔晒してこちらを見ていた。
──あぁ泣きたい。
理由はないが情けない。
なんかもう生きたくない。
死にたいわけじゃない。
生きたくない。
生きたくない。
仕方が無い。
タッタカタカタン♪タッタッタッ♪
タタッタタンタン♪タッタカタン♪
軽快なBGMが流れる中で、思考がクルクル踊り出す。鈍くて重い思考のダンス。
ワン・ツー・ワン・ツー
ドン! ドン! ドンッ!
……醜悪すぎて観てられない。
チクタクチクタク時計が進む。
今日も私は──
「……何してたっけ?」
8/13/2023, 2:12:30 AM