「ねー今何時?」
「7時32分」
「え、うっそ!?やばいやばい!飯食ってねー!」
「はあ……」
「何時じゃ」
「7時32分」
「飯なしにしよかな今日!!」
「……」
「なん」
「7時32分」
「あかーん」
「……………」
いつもこいつは時間を聞いてくる。
なぜかといえば俺は時間が正確に分かるから。変な能力だ、と思っていた。
でもこいつに会ってからは、あってもいいと思っている自分に気づいた。
嘘の時間を伝えてしまうくらいには。
こいつは時計をつけない。俺が時間を知っているからだ。
でも嘘をついて、本当は8時前なのに、まだ一緒にいたいと
もっと長くいたいと思って言ってしまう。
俺にとっての7時32分は特別なものだった。
ごめん、嘘の時間を伝えてしまって。
過去に戻れたら、もっと長くいられるのに。
#2024.9.7.「時を告げる」
告げます。
9/6/2024, 10:32:07 PM