題:馬鹿みたい
世の中には、勝ち負けなんてどうでもいいって人もいる。
逆に勝ち負けにこだわる人もいる。
少なくともロゼッタは、「勝ち負けにこだわる」方だった。
しかしある日を境に、勝ち負けなんてどうでもいいと思うようになった。
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マリオカート・バトル戦。
今回はパックンVSスパイ。4分間、パックンから逃げ切れられれば勝ちという、単純な内容。
ロゼッタはスパイ側。牢屋の近くに潜伏することが多いので、仲間が捕まればすぐに助けられる。
でも、今回のバトルは牢屋の周りをパックンが見張っていた。
これでは牢屋の鍵を開けられない。
潜伏場所を変えようとした瞬間、パックンに捕まった。
どうやらロゼッタ以外はもう捕まっていたらしい。第一ラウンド終了。
ーー悔しい。
勝ち負けにこだわるロゼッタは、悔しんだ。
その後もバトルは続きーー、結果はボロ負け。
ロゼッタは深い溜息を吐いた。
✧ ✧ ✧
ロゼッタのスマホに、一通のメールが送られてきた。
送ってきたのはベビィロゼッタ。相手チームのメンバーであり、ロゼッタの幼少期をモチーフとした人物だ。
ロゼッタは銀色の王冠を取った。どうせ後から寝るのだから。
『ママへ
ママ、今日のバトルですっごくくやしそうな顔をしてたよね。
ママが勝ち負けにこだわる人っていうのはしってる。だけど、それでママが落ち込むのはいや。
別に勝ち負けなんてどうでもいいって、ピーチお姉ちゃんが言ってたよ。
ベビィロゼッタより』
ロゼッタは天を仰いで笑った。そしてスマホを放り投げた。
ベッドに顔を填める。自分を元気づけるために、わざわざピーチに相談していたのだ。
勝ち負けにこだわることでベビィロゼッタを悲しませることになるのならーー。
ーー勝ち負けなんてどうでもいい。今までこだわっていた自分が馬鹿みたい。
自分の愚かさとベビィロゼッタの優しさで、涙が止まらない。
ーー勝ち負けなんてどうでもいい。その言葉が反芻した。
6/1/2025, 2:46:08 AM