私は夏を生きられない。
だから半袖を着ない。短パンも履かないし、スカートだって分厚いタイツを履く。髪だって括れない。
私に似合うのは、孤独で寂しい冬。夏のように爽やかで賑やかな雰囲気は似合わない。
長袖とタイツ、長い髪に隠した秘密。体にできた醜い痕。
実の母から受ける愛という言い訳を持つ暴力。義理の父から受ける教育という名の性加害。
もう諦めてしまった。汚れた体を受け入れてしまった。その時点で、覚悟はできていた。
実の父から貰った最後の贈り物。最後の愛。シンプルなボーダーの半袖。大分子供っぽかったけど、着たかった。だけど、一度も着ることはなかった。
でも、最期くらい、着てもいいよね?
お父さんから貰った半袖を着て、タイツを脱ぐ。屋上で髪を括り開放的な気分に浸った。
あぁ、終わりだ。
最期の夏。最期の半袖。サヨウナラ醜い私。
7/25/2025, 6:13:57 PM