一昨日運良く手に入れた新聞紙を片手に外門を潜る。
いよいよかと意気込まずにはいられない。
送別の街「ベルエスク」
この街には、東西を隔てるように開いた大穴が存在する。
当然、好奇心に駆られた結果帰ってこなかった者も少なくはないのだが、この街の二つ名とは関係が無いというのもまた驚きだ。
地図上の理由で、この街を終着点または中間点とする者たちが多いらしい。
実際、近くの酒場へ向かう道中にいくつかのパーティが解散するのを目の当たりにした。
解散を惜しみ道端で話し込む者、反対に明日にまた約束があるかのように平然と別れを告げる者。
自身はどうだっただろうかと考えずにはいられない光景だった。
「待ってるからね」
ふと聞こえた言葉が、過去の記憶と重なった。
声がした方を振り返れば、当然知らない者達が集まっていて。彼らはその一言のみを残し、颯爽と二手に分かれていった。
最後に声を発した者の横顔は、復帰を疑う余地すら持たない程に晴れやかで。彼らの事情は知らずとも、彼らの絆と信頼がみてとれた。
そんな一部始終を見た気になった私は、もう一度心の中で覚悟を決めなおし、改めて歩を進めることにした。
今別れた彼らとは別の方向へ。
「別れ際に」
9/29/2024, 8:58:20 AM