これは、終章(エピローグ)から始まる物語だ。
ただの村人として家族と日常を過ごしていたある日、国の王様に勇者選定を受けさせられ、見事に選定され、勇者として世界中を旅していく。
その道中で出会った仲間達と共に修行しながら各地をまわり、困っている人々を助けながら魔王の城を目指していた。
時には仲間が倒れる事もあったし、自身が敵の攻撃に倒れる事もあった。それでも、僕達は旅を止めることも出来ず⋯⋯ひたすらに人々を助けながらも旅を続けて、ようやく辿り着いた魔王の城。その最上階で苦戦を強いられるも何とか倒して、世界平和を成し遂げ自国に帰る。
道中で出会った仲間達と、別れながらようやく終わった辛く長い旅。
国に帰れば賞賛され魔王討伐達成を祝したパーティーが開かれた。それも終えて久しぶりに帰った我が家で安堵しながら眠る。
そうして目覚めれば、いつも通りの日常に戻っていた。
それなのに―――その数日後、また王様から選定の為の招集が掛かったのだ。
魔王はもう居ないはずなのに、僕達が倒したはずなのに。もう一度勇者として選定され、また長い旅路につき⋯⋯見知った顔の仲間達と共に旅に出る。
しかも、再開した彼等は僕を知らないと言う。
何がなんだかわからないまま、また僕は魔王城で魔王を倒し国へと帰還する。全てを終えて眠りに就くと、またいつも通りの日常に戻り⋯⋯また勇者選定に呼ばれるのを繰り返している。
だからこれは、終章(エピローグ)から始まる物語。
永遠に終わらない魔王討伐の旅路。擦り切れていく僕の精神とは裏腹に上がっていく戦闘能力。もう、見慣れた顔に飽き飽きしながら⋯⋯完全に僕が壊れるまで、この物語は続いていくのだろう。
2/25/2025, 1:41:56 PM