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大勢の人間が遠くからかけてくる音がした。母はその音を聞くや否や娘の私に言った。「ついてきなさい」と。つかつかと書斎に入ると本棚の前に立ち何やら呟いた。すると本棚が二つに開いた。そこには薄暗い空間が広がっていた。中に私と入るとまた母は何やら呟いた。すると出口が塞がった。そのまま母は私に言った。「今から悪い人たちがこの家を荒らしにくるわ。目的は私とあなたを火炙りにすることよ。あなたはこの家に人が入ってこなくなるまで、ここに隠れていなさい。」「いやだよ。ママはどうするつもりなの」私は必死に駄々をこねた。母は私の目線の高さまでしゃがみ込み、私の頭を撫でた。「もうすぐ人が来るからあまり時間がないの。ママは悪い人たちを懲らしめに行くわ。だからそれまで悪い人に見つからないようにお利口にしてて」母の優しげでどこか堪えたような表情を見て、私は泣かないようにした。「うん。わかった。絶対戻ってきてね」「ええ約束よ。それじゃあここを出る方法を教えるわね。それから・・・」その会話が私と母の最初で最後の束の間の休息となった。

10/8/2024, 3:31:49 PM