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【未来】

みらい

関西にあるとある新交通システムには操縦者がいない
旅客輸送を主な目的として、
決まった軌道内を自動運転により走行する


ウン十年前、私は
島へ向かうその列車内から
高架の下を走る何台かの車やトラックを見ていた
車窓からは、目とおなじ高さに住宅が見える
高く葉を茂らせる広場の整然とならんだ樹々、
建築物のあいだを鳥のようにぬって一定の速度で移動する
遠くにはおだやかな海へとつづく空
低い機械音をたてながら濃紺の河を渡り、
まるで人の気配がない街の上空を、列車は無機質に進む
車内には俯いている大人たち、
多国籍な瞳、制服、スーツ、
みんなわかったような顔でどこへ行くのか

ああそうだ、
ここはロボットの街だ

そして、姉はこの未来の街で働いている
 

あのロボットの街は、どこへいったのだろう
緑が美しく、穏やかに風が凪いでいる
やさしく静かに整備されたこの街は、
ほんとうにあのロボットの街だろうか
無邪気で想像力に富んだ当時の自分に会いたい

未知のものに、私はあとどれくらい出会えるだろう

知らないほど強く、知るほど長く
未来は四方へのびている

6/17/2024, 12:30:20 PM