題 鏡の中の自分
鏡の中の自分の方が本当だったらどうしよう。
私はたまにそんな事を思う。
今いる自分はまやかしで、本当は鏡の中の自分の考えが少ししてからこちらに届いていて、動作も感情も全てがこちらの自分は操られているだけならどうしようって。
だって、全てが左右逆さまで、そんな世界があったらどうする?
そこに世界があったなら、そこにもう一人自分がいて、その自分が本物だとしたら、ここにいるこの私にどんな存在意義があるの?
ただのコピーなの?
原本でない私に価値があるの?
そんな考えに囚われるんだ。
そして囚われると全てが疑わしい。
鏡のある場所が入り口とか、向こうの世界を見える道具で、私達の世界はニセモノなんじゃないかって。
友達にそう言ったら、
「それは怖い考えだよね」
と言われた。夏子はその後少し考えてから、
「でも、鏡を割ったらこっちの世界は壊れないけど、鏡の世界は壊れるじゃん?それって、あっちの世界が、ないって証明なんじゃないの?」
そう言われて確かに、と思う。
でもさ、と反論の声が心の底から湧いてくる。
「それは、向こうの世界も同じことが起こってるんじゃない?世界は存在してるけど、鏡はただの2つの世界を繋ぐ道具で、割れたらお互い相手の世界が壊れたように見えるんじゃない?」
「そうかな〜?さすがに鏡の世界はないと思うけどな」
私の言葉を受けて疑問を呈する夏子。
そうだよね、私もないといいなとは思ってる。
だって、向こうの世界のコピーなんていやだから。
私は唯一無二の存在で、自分で自分の意思を決めたいと思うから。
・・・・なんてさ、向こうの鏡の世界の私も思ってたりして。
そう考えると、やっぱりちょっと怖いな。
11/3/2024, 3:41:49 PM