4.世界の終わりに君と
夢を見た。世界が壊れる夢。今まで築き上げてきたものが全てなくなる夢。
それは突然のことだった。突然目の前が真っ暗になる。視覚、聴覚、触覚、どこからも情報は得られないが何かが壊れた、崩壊したことを漠然と理解している。もはや恐怖などない。ただもうあいつに会えないと思うと少し心痛い。そこで意識を手放した。
目が覚めると、夢の中では落ち着いていたように感じたが現実では汗をかき、心臓がうるさくなっている。相当怖かったんだなと他人事のように思いながら息を整える。今にも大声を張り上げようとしているスマホが曙色に照らされている。
振り返ってみてもアイツはいない。ただ一つ行ってきますと書かれた紙が存在感を放っている。仕事が繁忙期を迎えたと言っていたから会社に泊まり込むのかと思っていたがどうやら一度帰宅はできたようだ。もうしばらく碌に話せていないが辛くは無い。あいつが仕事に本気で取り組んでいることは知っているし、ここは夢の中ではないのだから。
6/7/2024, 1:06:51 PM