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轟々と空気が唸る一夜から一転。
荒れ放題だった天候も落ち着き、もう今では穏やかで暖かな風が優しく私の髪先を揺らしてきた。

前もって一度は知らされている。
──とはいえ、まさかこれほどだったとは。

今、私の前に広がる、晴色と桜色のコントラスト。
その慎ましくも圧巻される実物を目の当たりにすると、本当にあの強風すらも耐え抜いたのかと、酷く感激してしまった。

普段から足元を向いて歩くことの多い私には、今日に至るまで気づけていなかったらしい。
つぼみが芽吹いた枝葉のみならず、いっそ木々すらも彩らんと奮闘するそんな存在たちを。

この瞬間を見逃してしまわなかったことを含め、昨日の報せを届けてくれた友人には、改めて感謝しようと心に決める。
そう頭では考えていながらも、まだ私は飽きずに春を見上げていた。

【言葉にできない】

4/11/2024, 2:53:49 PM