『ページをめくる』
ページをめくると、いつだって違う場所へ行けた。
海でも山でも外国でも。
それこそ、宇宙や異世界にだって。
小さい頃は本を読んでいると「勉強して偉いね」とか「本を読むと賢くなるよ」なんて言葉をかけられたけど、そういうのは得てして、普段本を読まない人ほど言うものだ。
本好きは、単に楽しいから読んでいる。
ワクワクしたり、ドキドキしたり、悲しくて胸が張り裂けそうだったり。
そういう体験を楽しんでいるのだ。
ミステリや幻想やSFが好きな私は、現実でそんなことが起こったら、きっと何もできない。
ただただびっくりして、ショックを受けて、どうしたらいいのか分からずに呆然としてしまうことだろう。
快刀乱麻を断つような推理は、耳で聞かされても多分すぐには理解できない。
え?なんて?って、頭の中がハテナでいっぱいになるだろう。
文字で読むから頭の中で整理がつく。
外国語のヒアリングとリーディングで感じるアレだ。
特に日本語は同音異義語が多いから尚更。
そんなわけで、今日も私はページをめくる。
今読んでいるのは、猫に蹂躙されたい人のための短いホラー短篇集だ。
9/4/2025, 9:18:41 AM