たぬぐん

Open App

「8月31日午後5時」

時間は8月31日午後5時。

まだまだ余裕だ。慌てるような時間ではない。

夕飯を食べて風呂に入って、アイスを食べてゲームのデイリーミッションを消化してからが本番だ。
ここで慌てるのは素人の思考なのだ。

時刻は午後9時。
そろそろ机に向かうとしようか。
思ったよりゲームを楽しんでしまったが、些細な問題に過ぎない。
たかが計算ドリルと漢字ノートが半分。
徹夜すれば余裕で終わる。
何度僕がこの修羅場を乗り越えてきたと思っているのか。もはやこの程度は修羅場ではない。
さあ、最後の戦いを始めようか。

時刻は午後、いや午前1時。
予想より1時間かかったが、問題なく課題は終了だ。
完璧なプランだったな。我ながら自分の能力に惚れ惚れしてしまう。

おっと、友人からメッセージが来ている。喜びを分かちあって、気持ちよく明日に備えるとしようか。

――――毎日日記と、計算プリント……?

しまった、毎日日記を忘れていた。最初の3日以降書いてないぞ。だがこんなもの同じような事を適当にでっち上げて書いていけばすぐに終わる。

だが、計算プリント……?
そんなものはランドセルに入ってな……学校に置いてきたのか……!

これはまずい計算外だ。
今から学校に取りに戻るなんて不可能……!
そもそも手元にあったところで、かなりの量があった気がする。
登校前の対処は不可能……!

仕方ない。早起きして学校に向かい、朝の会が始まるまでに仕上げるしかない。
おそらく授業中は爆睡だろうが、宿題を忘れて怒られるよりはマシだ。

そうと決まれば早々に床につくとしよう。
おやすみ、明日の完璧な自分!

翌朝、徹夜をした彼は、早起きどころか寝坊してしまい、遅刻に宿題忘れと、授業中の居眠りでしこたま叱られたのだった。

みんなは宿題、終わったかな?

8/31/2025, 11:10:03 AM