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「 思ったより降ってるな ……… 」

店の入口に立ち尽くす2人 。

「 ほんまやね 、 ここまで降るなんて
思っとらんかったわぁ 。 」

2人して屋根の下から 、 降り注ぐ雨水を
ただ呆然と見つめる 。
出かける前は降っていなかったからと安心を
していたのだけれど 、 ここまで降るなんて 。

「 参ったな 、 一応折りたたみ傘は持っては
いるが ……… 1本じゃあどちらかが濡れて
帰らないといけないことになってしまう 。 」

右手に握りしめられた折りたたみ傘を見つめる 。
やはり止むまで待つしか 、 と彼女の口が零す 。

「 ん ? 待たんでもええんちゃうの 、 だって
1本に俺らが入ったらいいんやもん 。 」

彼が指をさした傘を 、 再び見つめた 。

「 …… そうか 、 その手があったのか 。 」

そんな彼女の声を聞き 、 彼は
拍子抜けた様な表情を見せた 。

「 柘榴ちゃんそれ 、 ほんまに言ってるん ?
俺冗談のつもりやったんやけど …… 」
「 だって雨が止むまでここにいるのは迷惑に
なってしまう 、 それに晴も早くアジトに
帰りたいだろう ? 」

彼としては 、 例え迷惑でも止むまでここに
いたって良いと思っていたのだけれど 。
まぁ彼女との相合傘も 、 嫌じゃない 。

「 …… そうやね 、 そしたら風邪引く前に
はよ帰ろか 。 傘俺が持つわ 。 」

何処か楽しそうに表情を綻ばせる彼 、
何処か照れた様子の彼女 。

広げられた傘の中で幸せを滲ませながら
2人は歩いていくのだった 。


- 相合傘

6/19/2023, 7:43:52 PM