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澄み渡る青空の下、
朝から干していた洗濯物はすっかり乾き切り
部屋いっぱいに日の匂いが溢れている

洗濯物を一つ一つまとめ、
少女らしさと色気を兼ね備えた
白いレースのショーツを2つにたたんだところで
その持ち主がまぶたを擦りながら姿を現した

「洗濯物まで、ありがとう」

「いいえ、居候の身分なんだからそれくらいやるよ」

「あなたってなんでも出来るのね、料理も掃除も」

彼女の視線がキッチンへと向く
良い匂いに誘われてきたのだろう
遅めのお昼はオムレツ、サラダ、フレンチトースト、デザートにはプリンを作ってみた


「逆できないことってあるの?」

私が食卓に食事を並べている横で問いかけられる

ライラックのテーブルに深緑色のイスは
彼女の白いシルクのパジャマによく似合う
デザイナーのこの人の日常は
私の拙い語彙では表しきれないほど鮮やかな色取りに満ちているのだ

「恋人ができない」

あはは、と乾いた笑いが響いた

「笑い事じゃないよ、私は真剣に悩んでるんだ
昔から刹那の恋人にはなれるけど、長い間を共にはしてくれない」

「綺麗すぎるのかも、あなたが横にいると遠慮しちゃう」

「それってどうすればいいのかな?」

「どうだろう、私も高嶺の花だけど貴方ほどじゃあない」

そう言うと
いきなり胸が寄せられ
唇が触れ合う
紅茶の香りが体の中に充満する

「あなたが立ってるだけでこういうことしたくなる、それくらい魅力的」

「それは光栄だな」

唇と唇の距離は僅か数ミリ、
口を動かすと何度か触れ合いその度に華やかな香りが弾ける

「でもずっとこうだったら大変。みんなわかるのよ、毎日毎日心を奪われていたら自分の手持ちがなくなっちゃう」

「じゃあ私が奪ったぶんの心をあげればいいんじゃないの」

そう呟くと
彼女は残酷にも首を振る
そんなことあなたには出来ないでしょ、
と諭されているようだった

私はあと何回この質の良いシルクの
パジャマに手を掛けられるのだろう
刹那の恋人へ、たった一時
何より熱く心を注ぐため
私は再度紅茶の香りを胸いっぱいに吸い込んだ

4/29/2024, 5:25:45 AM