カーテン
「カーテンかぁ」
今日のお題を目にして、自室にかけられたカーテンに目を向けてポつりと呟いた。
そこら辺のホームセンターで購入した、これといった特徴のないカーテン。けれどもある時、このカーテンに思いがけないエピソードが出来てしまったのを思い出した。
私には歳が離れた兄弟がいるのだが、遂にその弟も一人暮らしをし始めるとのことだった。自分の予定との兼ね合いもあって、実際に弟の新居に顔を出したのはある程度家の中が片付いた後のこと。弟の部屋に入って、目に入ったカーテンの柄にあっ、と思わず声をあげた。そこにあったのは、自分の部屋にあるものと色違いなだけの、同じ柄のカーテン。打ち合わせなんてしてないのに、丸かぶりしたそれに気付いて、私だけでなく先に訪れていた両親が耐えきれないといった様子で噴き出した。
「違うし!わざとじゃない!!」
心外!といった様子で焦ったように抗議する弟に、だろうなぁ、と笑いが止まらなかった。弟は私の部屋にあまり来たことがないので、購入時に多分気付かなかったのだろう。だけども、こんな偶然があるのかという奇妙な巡り合わせと、同じものを選んだ感性の近さに、血筋を感じられずにはいられなかった。あれからもう、しばらく経つ。
けれど未だに、家のカーテンをみては思わずくすりと笑ってしまうのであった。
10/11/2023, 11:54:57 AM