お題 雪を待つ
物心ついた頃から、雪はまるで私に会いに来てくれたのだと嬉しくて、いつも空に手を差し伸べて迎えていました。
2月のある日にはいつもよりもたくさん降って、私の足もとに積もったことが嬉しくて、よく遊んだことを思い出します。
そんな日は、雪だるまを作ったり、雪うさぎなどを作ったりしました。
懐かしいですね。
それから私は冬になると、雪が降るのはいつかと待ちこがれるようになりました。
その後十年がたち、私は大人になりました。
大人になると、子供の時のように何も知らないままでは居られなくなり、寒い日の雪がつらいことも知りました。
さらに十年たちました。
この頃になると、一つ一つが大きくてふんわりと降ってくるぼたん雪は、いつの間に冬風に踊る粉雪に変わりました。
さらに時が過ぎ、私も年を取りました。
年々、体の衰えを感じるようになりました。
歳を重ねることで、見たくないものを見てきました。
雪が降ることによっていろいろと困ったことが起きることも知っています。
それでもなお、子供の頃のように無邪気に雪で遊ぶなどということができるかどうか。もう、心と体もついてこないのに。
それでも冬の時期になると、ついつい雪が降るのを待ってしまうのです。
ここ数年、粉雪が姿を見せることも少なくなりました。
雪そのものに会えることもあるかどうかさえ、わからなくなりました。
それでも待って、待って待ち続けて。
今年の冬も、つもらないのかもしれない。
それでも私は、この冬も待ち続けるのでしょう。
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私が住んでいるところはめったに雪がふりません。
12/15/2024, 12:23:50 PM