ずい

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『突然の別れ』

いつかは来ると分かっていた。
閉まったシャッターとそれに貼りつけられた紙。

「一身上の都合により、K書店は閉店いたしました。長い間ご愛顧いただき誠にありがとうございました。」

小さな頃から通っていた。高校のとき少しだけ職場体験をさせてもらって、後継者がいないからそう長くは続けられないと聞いてはいた。
店主はもう八十代半ばだ。
よくやったよと、最後の営業日に常連さんと話している姿を見たのが最後だった。

「お悔やみ申し上げます」

私と両親がそう告げたとき店主の奥さんは泣いていた。閉店してから二ヶ月。店を追うように店主は天へ飛び立っていった。ある朝起きてくる様子がなくそのまま、だったそうだ。

大好きだという本に囲まれた写真の中の店主はとても穏やかな笑みを浮かべていた。

5/19/2024, 12:56:28 PM