「俺と付き合ってください!」
私の好きな人からの、告白。それは四ヶ月前、つまり中学最後の十二月のことだった。
「……ごめんね、考える時間が欲しいから、返事はちょっと待って欲しい」
その時の私は、すぐに返事を出すことができなかった。
その日の部活の時間。告白されてから一時間ぐらいが経過した時。
「立花!ペースを落とすな!」
「はい!」
私は陸上部に所属しており、その日は三千メートルのペース走をしていた。顧問は熱心な方で、とても厳しく指導してくださった。
「立花どうした?今日は調子が悪いか?」
タイムは十分十二秒。いつもよりも三十秒近く遅い。
「いいえ!大丈夫です!」
その日は、いつもよりも集中できなかった。きっと心の中にさっきの出来事が突っかかっているのだ。
私の夢は、オリンピックに出場すること。そのためには、どんな時間も陸上に注がなくてはならない。
ただ私の頭の中では、恋愛と陸上がぶつかり合っていた。
結局、私は悩みに悩んで一週間後に「ごめんなさい」と返事をした。彼の涙が溜まった目は、今でも思い出すと胸がキュッと締め付けられる。
そしてこの春、私は県外の陸上の強豪校に進学した。自分の夢を追うために、地元を離れてやって来た。
あの時の答えは、まだ分からない。でもそれはこれから自分で作っていこうと思う。
お題:答えは、まだ
9/16/2025, 2:54:21 PM