雨の中にいる。ぼーっと突っ立っていたら、腕を引っ張られて、おまえの傘に入れられた。「なにしてんだよ?」「あー、いや……頭痛くて…………」 これは、本当。雨は嫌いだ。おまえも知ってる。 心配そうな顔をさせた。申し訳ない。「ごめん。また、煙に巻こうとしたな」 一呼吸置いて。オレは口を開いた。「あの日も、こんな雨だったなって」 喪失は、ずっと埋まらない。
8/27/2023, 10:08:53 AM