霜月 朔(創作)

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君と僕



君の笑い声が、ふと風にまぎれると、
なんだか、胸の奥が、きゅっとなる。
そんなの、ただの偶然だって、
ボクはボクに言い聞かせる。

お前は誰にだって優しいから。
それがお前の“いつもの顔”なんだろ?
ボクだけじゃないって、
分かってるのに。
なのに、どうして。
嬉しくなっちゃうんだろ…。

お前とボク。
なり得ない…『君と僕』。
それ以上でも、それ以下でもない。
そんなこと、
ちゃんと分かってるつもり。

だけど、時々
「もしも」なんて、
ありえないことを、
考えちゃうんだ。

お前の真っ直ぐな瞳が、
誰かじゃなくて、ボクを見て、
微笑んでくれたらって。

……バカみたいだよな。
お前の事なんか、
好きじゃないのに。
ホントに、ぜんぜん、
そんなんじゃないのに。

ただ、お前が、
誰かのことを話すたび、
…なんでだろ。
胸がちくっとするんだ。

だけど、どうせボクなんて、
誰にも愛されるわけ、ないんだ。
こんなボクに、
誰も、目を向けるわけがない。

だから、今日もまた、
お前の隣で、
笑ってるふりをする。
友達なんて、そんなもんだろ?

『君と僕』じゃなくて、
…お前とボク。
それが、全てだったから。

4/12/2025, 8:50:36 AM