箱を開けたら、空っぽだった。
「これは、なに?」
「何って、プレゼントよ」
プレゼントと言って渡された箱は、それと言われて想像するまさにその箱で、綺麗にリボンでラッピングされたものだった。中身以外は。
「中身、ないんだけど」
「ほんとに?受け取りきれてないだけじゃない?」
「どう見ても何も入ってないよ。振っても音しないし」
左右に箱を振ってみても、かすかに風を切る音だけがした。
「まさかこんな変哲もない箱がからくり箱とか言わないよね?」
「まさかあ。よく見て、受け取って」
もう一度箱を見てみる。やはり何もない。
「どういうこと?」
「んもう!ロマンのわからない人ね。気持ちよ、気持ち!私の愛がたっぷり詰まってたでしょ?」
ふんとスネたかと思ったら、どうだと胸を張って言われた。そのいばる様はまるで王様だ。
「……そういうこと」
脱力したように箱を持つ手を下げる。
(そんなに言うのなら、こんなに仰々しい箱でなくてもよかったのでは?)
なんて思ったが、怒られるだけなので言わない。
今年のクリスマスは、「愛」をもらった。
(文字列だけ見ると美しいのに、この切なさはなんだろう)
/12/2『贈り物の中身』
凍えるような
すっきりとした星空の下で
君と飲むココアが好きなんだ
/12/1『凍てつく星空』
12/3/2025, 2:40:26 AM