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同情

「私、同情って大嫌いなんだよね」と君は言う。
「…どうして?」と僕は聞いてみる。
別になんの興味もないけど。
「うーん…例えば、ある人が辛い思いを体験して、それを他の人に話すかなにかすると他の人は『大変だったね。辛かったね。』って言うけど、それは心からの共感?反応?みたいなもなじゃないと思うんだよね。」
「ちょっと…何言ってんのか分かんないだけど?
もう少し、わかりやすく説明してくれる?」と僕は言う。
…ほんと、この子ってこういうとこあるんだよな。 
なんていうか…説明が抽象的で分かるような分からんような。
でも、内容が理解できたら、的を得た意見とか考え言ってるんだよなぁって思えるけど。とか考えていると君は
「要は、その人と例え同じ事もしくは似たようなことを体験していたとしても、その人の辛さとか感じる感情とか情報量とか違くない?ってこと。」
「あー 確かにそうだね。その人の体験して感じたことと自分が体験して感じたこととは一致しない。
もしくは一部一致したとしても、全部が全部一致しないってこと?」と尋ねる。
「そういうこと!!流石だね!」と能天気な返答が返ってきた。全く調子のいい奴だ。と馬鹿にしたような笑い方が表に出ていたらしい。
「あっ!今、馬鹿にしたでしょ!!」と君は言う
「…してないよ。むしろ、"尊敬"してるよ笑」と返す。
「…もう〜」と頬を膨らませ、そっぽを向く。
…少し揶揄いすぎたみたいだ。そんなことを考えながら、僕はこんなことを言う。
「…さっきの君の同情が嫌いってことだけど、僕その考え方に反対で、同情って案外好きなんだよね。」と言ってみる。
「…どうして?」と君が聞いてくる。
「だって、あまり踏み込んだ感じがしないし、それでいて自分の話を聞いてくれていると言うサインみたいなものでしょ?」と言い、君の顔を見る。
…こりゃ分かってなさそうだな。
「…たとえば、誰かに話を聞いてもらいたいと思って、話をするだろう?
でも、その話を聞いてもらう前に色々感じることってあるけどその中でも多分2パターンあると思うんだよ。
一つ目は、君の言った浅ましい反応をして欲しくないって思うこと。
二つ目は、別に心の底からの反応はいらない。ただ、自分の話を聞いて欲しいって思うこと。
君の言う、一つ目の感性では同情ってあんまり気分が良くないものだけど、僕の言う二つ目の感性では同情ってただ自分の話を聞いて反応してもらってるって感じがするんだよね。気が楽でさ。あんまりガチな反応されると困ることってあるじゃん?
だから、軽く何かしら発言してもらうことでこっちも救われる感じがするだよね。」と長々喋り終えると君は「うーん?あんまりよく分からない。私はいつでも、心のこもった反応が欲しいよ?自分の言ったことに軽々しく何も考えないで発言して欲しくないし。」と言う。
「僕は、自分が言ったことに対してそこまで深く読み解かなくてもいいって思ってるよ。
だって、深く考えて発言することは誰かしらに沢山している人はしているだろうし…。
何より、僕はそこまで考えて返事をして欲しい訳じゃなくて、ただ僕の言ったことに耳を傾けて欲しいだけなんだよね笑」と少しくすっと笑いながら言うと
「…なんか、こう考えると私と君って正反対な価値観持ってるね?」と君が言う。
「そうだね。でも一緒にいてあんまり苦じゃないし、気を使うこともあんまりないだろう?」と僕は言う。
「…そうだね!確かに今考えてみたら、あんまり苦じゃなかったな。他の子達より気を遣った感じがしない笑」と君はおどけて言う。
…ほんと一緒にいて楽しいよ。





2/20/2024, 11:04:50 AM