田中ボルケーノ

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目覚めるとすぐコンロに火をつける
お気に入りのインスタントコーヒーをドリップしてカップに注ぐ

ベランダに出ると湯気立つカップを片手に煙草に火をつける

見下ろした朝露の街は
昨晩の喧噪が幻だったかの様に昇る陽をただ静かに待っていた

煙草の煙は深く澄んだ空気とは相まみえず
お互いに拒絶しながらも
仕方なく物理法則に従うと風が攪拌して混じり、いつの間にか見えなくなった

毎朝のこの時間、

朝日が昇るまでの束の間の休息

何にも縛られず

誰にも咎められない

この景色を

毎日眺めている

さすがにもういい加減に働かなくちゃ、とは思うのだけど

本当に毎日、本気で思ってるけど

自由を感じているんだから

仕方ないだろ

束の間の休息を感じながら

もう五年になる

この景色を眺めていると

明日からはきっと

頑張れる

ような

そんな気がする



           『束の間の休息』

10/8/2024, 12:41:06 PM