れあ

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目が覚めると、隣にイツキがいた。ルヴァンは驚いて飛び起きて、見開いた瞳をぱちぱちと瞬かせた。

そう、昨日は酷く天気の荒れた日であった。
「今日の天気はひどいわね……。そういえば、雷が来るって言ってたような……」
ルヴァンは窓際の机に座り、どんよりと曇った空を見つめた。髪を耳にかけて、チラ、と横を見るとイツキの顔が青ざめているのが覗いて見えた。
いつもであったらそんなことはないのに、今日はどうしたというのだろう。イツキはいつもツンツンしていて、クールで冷たい。素直に心配になったルヴァンはそっと立ち上がって、イツキの元へ歩み寄り、俯いたイツキの顔を覗き込んだ。
「っわぁっ!?な、なんだよ!?」
「何って……こっちは心配してあげてるのに、何よその反応。」
「は、はぁ?心配?お前に心配されるなんて気持ち悪いんだけど」
「そんなに青ざめてんのに何も無いなんておかしいわよね?」
刃向かってくるイツキにルヴァンはニヤ、と微笑んだ。そう言われて初めて気づいたのか、イツキは慌てて顔を逸らした。
イツキは観念したのか、唸り声を上げたあと横目でルヴァンのことを見る。
「雷、苦手なんだよ……」
そう絞り出すような声で呟いたイツキは、耳が赤くなっていた。
「苦手……ふぅん。ん、ふふっ、ごめんなさいね?悪気はないんだけれど」
「な、なんだよ!!笑うなよ!!もうやだ!!お前とは話さない!!」
そう叫んだイツキは顔を真っ赤にして自室に閉じこもってしまった。
「ふふ、面白い子。」


そして翌日、つまり今日。ルヴァンは昨日の出来事を思い出して、やっとなぜ今の状態になったのか理解することが出来た。
すやすやと安心したように眠るイツキは、いつもより幼く見えた。目は少し赤く腫れていて、目を擦ったあとがある。
きっと雷が怖くて、ルヴァンの元に来たのであろう。腰はイツキに強く抱かれていた。
イツキを近くに感じて、かぁっと顔が熱くなる。
「はぁ、やだ……。私ったら……」
これでは心臓が持たない、そうルヴァンは樹の腕を解こうとするがビクともしない。
「……うそでしょ」
ルヴァンは諦めて気持ちよさそうに眠るイツキを見つめた。
「ふふ、かわいい……」
こんな間抜けな顔を見れるのは、きっと私だけ。

イツキは、私だけのもの。

7/10/2023, 11:52:10 AM