古びた手記の一部から抜粋。

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「ねぇ、この新しいリップ夏っぽくて素敵じゃない?」
「おねえさまの肌によく似合っててとても素敵です!」
「ふふ、ありがとう」

ふと近づいた私の大好きなおねえさまの顔にきゅっと目を閉じると唇に柔らかいものが触れた

「お裾分け。あなたにもよく似合ってるわよ」

あぁ、悪戯っぽく笑うその顔が大好き。
さらりと嬉しいことをしてくれるおねえさまが大好き。

「………私もそのリップ買っておねえさまにちゅーしてお裾分けしたいです」
「んー。でももう私が持ってるしいらないと思うけど。」


ひとつあればいつでもお裾分けできるじゃない。




弧を描くその唇がずるくてかわいくて大好きで。

「むぅ………じゃあおねえさま、」


ひとつあればいいのならと、もう一回のおねだりをした。


HPMA   side.C

7/8/2024, 4:18:17 PM